西宮市医師会診療所 臨床検査部各検査部門紹介
検査の流れ
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9時〜
検体の受領
医療機関や健診施設から、血液や尿などの検体をお預かりします。 依頼書と検体を一つ一つ照合し確認します。
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12〜15時
搬送・搬入
数回に分けて検体が搬入されます。搬送中の温度管理には特に注意を払っています。
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12〜15時半
依頼内容の確認
検体の照合、受付、依頼内容の確認を行い、検査システムに取込・登録します。バーコード運用で、検体の取違い等のトラブルを防いでいます。
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12〜17時
検査の実施
各部門で測定や観察などを行います。正確な結果を得るために、厳しい精度管理体制を設けています。
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15〜17時
結果報告
検査報告書を発行します。(報告書のお届けは当日夜~翌日となります。)WEBからリアルタイムで結果を閲覧する事も可能です。緊急検査は搬入後30分で報告します。
生化学的検査
主に血液を遠心分離して得られる血清や尿で肝機能、腎機能、糖尿病検査、 脂質検査などの検査を実施しています。
大型の自動分析装置を使用しており、検査機器で測定した検査データはシステムチェックを経て迅速かつ正確に報告されます。
免疫学的検査
ウイルスや細菌による感染症や腫瘍マーカー、各種ホルモンについて検査を実施しています。
検体は、生化学的検査と同じく血清と一部の検査はEDTA血漿で測定します。免疫検査の分析装置はCLEIA法(化学発光酵素免疫測定法)を原理とする「ルミパルスG1200」を採用しております。
血液学的検査
主に貧血の有無や、感染症や炎症による白血球の増加等を検査します。
また、白血球の種類を詳しく分類、割合を調べることにより血液疾患等を見つけることができます。システム的に異常値と判断した場合は血液塗抹標本を作製・鏡検して報告しており、白血病等の血液疾患が疑われた場合には早急にご連絡いたします。 凝固検査は、抗凝固療法のモニタリング、出血傾向や血栓症などの予防や治療の為にご利用頂いております。
一般検査
尿検査では、尿中の蛋白や糖、潜血の有無を調べます。
また、細菌や悪性細胞が無いか詳しく顕微鏡で観察することで、尿路感染症や腎疾患等を見つけることができます。便潜血検査は消化管からの出血の有無により、大腸癌などの発見に有用です。
遺伝子検査
新型コロナウイルス(COVID-19)の診断ならびに診療方針のために、検査が行える遺伝子検査室を整備しています。
SARS-CoV2核酸検出検査LAMP法を導入し、医療機関や西宮市PCR検査センターの検査を受託しています。迅速に正確な結果を報告し、感染拡大対策に大きく役立っています。
検査項目のご説明(内部検査項目)
生化学的検査
検査項目 | 説明 | |
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酵素 | AST(GOT) ALT(GPT) |
肝臓・心臓・腎臓・筋肉などに多く分布し、これらの臓器の障害で高値になります。ALTは特に肝臓の障害を反映します。 |
ALP | 骨の異常や肝・胆道系の異常で高値になります。 | |
LD(LDH) | 肝臓・心臓・血液の病気で高値になります。血球成分が壊れても上昇します。 | |
コリンエステラーゼ | 肝臓の蛋白合成能に反映し、肝臓の障害などで低値になります。また、脂肪の蓄積で脂肪肝になると高くなります。 | |
γ-GT(γ-GTP) | 肝・胆道系の障害で高値になります。特にアルコール性肝障害で著明に反応します。 | |
血中・尿中アミラーゼ | 膵臓・唾液線等に多く分布し、主に膵臓疾患で高値になります。 | |
CK(CPK) | 骨格筋・心筋・脳に多く分布し、これらの臓器の障害で高値になります。 | |
含窒素 成分 |
尿素窒素・クレアチニン | 腎臓の機能を示し、障害があると高値になります。 |
尿酸 | 痛風の原因となる物質で、腎機能低下で高値になります。 | |
脂質 | 総コレステロール | 脂質代謝に異常があると変動し、高値で動脈硬化の危険因子になります。 |
中性脂肪 | 脂肪・糖の過剰摂取及び代謝異常で高値を示し、動脈硬化の危険因子となります。 | |
LDLコレステロール | 悪玉コレステロールで高値の場合は心筋梗塞や脳梗塞などに注意が必要です。 | |
HDLコレステロール | 善玉コレステロールで低値の場合は心筋梗塞・脳血栓症などに注意が必要です。 | |
蛋白・膠質反応 | 血清総蛋白 | 栄養状態を反映し、アルブミンの減少で低値になりグロブリンの増加で高値になります。 |
アルブミン | 低栄養状態、腎機能障害や慢性の肝障害等で低下します。 | |
生体色素 検査 |
総・直接ビリルビン | 肝臓・胆道系の障害で高値になり、黄疸の種類がわかります。 |
糖代謝 | グルコース(血糖) | 糖代謝の異常で低値・高値を示します。糖尿病で高値になります。 |
ヘモグロビンA1c(NGSP) | 採血時より1~2か月前の血糖値を反映し、糖尿病の状態が悪いと高値になります。 | |
電解質・微量金属 | Na・K・Cl | 生体の必須電解質で体内の水量のバランスを反映します。 |
カルシウム | カルシウムの吸収異常、骨疾患、内分泌疾患等で変動します。 | |
無機リン | 副甲状腺機能異常、ビタミンD異常、多発性骨髄腫等で異常値になります。 | |
血清鉄 | 慢性の出血や鉄分の供給不足などで低値になります。 | |
総鉄結合能(TIBC) 不飽和鉄結合能(UIBC) |
血中のすべてのトランスフェリンと結合できる鉄の総量(TIBC)で未結合をUIBCといい、造血能や肝疾患の鑑別に役立ちます。TIBC=UIBC+血清鉄 | |
eGFR | 腎臓にどれくらい老廃物を排泄する能力があるかを推定します。 |
免疫学的検査
検査項目 | 説明 | |
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内分泌 | FT3 FT4 TSH |
甲状腺機能の検査です。甲状腺ホルモンが多過ぎても、少な過ぎても症状が出て治療を必要とすることがあります。 |
BNP | 心臓の負担が大きいほど高値になります。心不全や心肥大などの早期発見が可能となります。 | |
腫瘍 マーカー |
AFP CEA CA19-9 CA125 |
主にAFPは肝がんの、CEAは大腸がんの、CA19-9は膵がんの、CA125は卵巣がんの腫瘍マーカーですが、ほかの疾患でも変化し、また飲酒喫煙などの影響も受けやすいので、軽度の場合はあまり問題となりません。高値でもほかの血液検査や画像診断と総合して判断します。 |
PSA | 前立腺がんの早期診断に役立ちます。加齢や良性の前立腺疾患等でも上昇がみられることがあります。 | |
感染症 | HBs抗原 | B型肝炎ウイルスに感染していると陽性になります。 |
HBs抗体 | 過去にB型肝炎に感染したことがあったり、B型肝炎ワクチンを接種で陽性になります。 | |
HCV抗体 | C型肝炎ウイルスに感染していると陽性になります。 | |
TP抗体 RPR |
梅毒の病原体についての反応で梅毒の診断にも用いますが、梅毒でなくても陽性になる場合がありますので、他の反応も行って診断するのが一般的です。 | |
ヘリコバクターピロリ抗体 | 一般的にピロリ菌と呼ばれている細菌です。血液の抗体の有無で感染を調べます。感染すると慢性胃炎の原因となり、胃の粘膜の萎縮や発がんに影響していると考えられています。 | |
血漿蛋白 | CRP | 急性の炎症や組織の損傷で高値を示します。 |
フェリチン | 鉄分を貯めることができる蛋白です。体に溜めてある鉄の量がわかります。 | |
自己抗体 | RF定量 | 関節リウマチを代表とする膠原病や肝硬変、慢性感染症などで高値になります。 |
血液学的検査
検査項目 | 説明 | ||||||||||||||||
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血液 一般検査 |
白血球数 | 肺炎などの細菌の感染症や白血病で高値を示します。 | |||||||||||||||
赤血球数 | 貧血で低値、脱水や多血症で高値を示します。 | ||||||||||||||||
血色素量 | 赤血球中の濃度で貧血や多血症がわかります。また、これらの疾患の経過観察に用いられます。 | ||||||||||||||||
ヘマトクリット | 赤血球の占める割合を示し、貧血などの診断や経過観察に用いられます。 | ||||||||||||||||
MCV | 赤血球の大きさがわかります。 | ||||||||||||||||
MCH | 血液中のヘモグロビンの量がわかります。 | ||||||||||||||||
MCHC | 血液中のヘモグロビン濃度がわかります。 | ||||||||||||||||
血小板数 | 止血因子のひとつで止血機能が予測できます。 | ||||||||||||||||
血液像 | 血液の細胞の状態をみて病態や疾患の状態を知ることができます。 | ||||||||||||||||
網状赤血球数 | 赤血球産生能の状態をみることができます。 | ||||||||||||||||
赤血球沈降速度 | 主に炎症をともなう病気の有無や程度がわかります。高値の場合は感染症や他の疾患、低値の場合は多血症や凝固に異常があると考えられます。 | ||||||||||||||||
免疫血液 | 血液型(ABO/Rh) | 血液型を調べる検査です。 | |||||||||||||||
凝固検査 | プロトロンビン時間(PT) | 血液の凝固異常を調べる検査です。ワーファリン治療時に薬の量を調整するために測定します。 |
一般検査
検査項目 | 説明 | |
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尿検査 | 蛋白 | たんぱく尿には病的なものと生理的なもの(生理的たんぱく尿)があり、健常者でも生理的たんぱく尿が一過性に見られることがあります。腎臓病発見の手がかりとなります。 |
糖 | 尿中の糖、一般的に尿中ブドウ糖を指します。糖尿病発見の手がかりとなります。 | |
潜血 | 肉眼的には確認できない微量の尿中赤血球や、ヘモグロビンなどで検出します。陽性の場合は、腎・尿路疾患の手がかりとなります。 | |
沈渣 | 尿中の有形成分を顕微鏡で観察する形態学的検査法です。沈渣成分には、血球成分、上皮細胞、円柱、細菌、酵母、寄生虫などが含まれ、腎・尿路系疾患の手がかりとなります。 | |
便検査 | 便潜血反応 | 肉眼的には確認できない便中への微量の出血を検出する検査です。がんをはじめ、大腸の病気の発見の手がかりとなります。また、痔の場合も陽性となる事がありますが、他の大腸の病気が隠れていることもあるため、痔の出血と思い込まないで、必ず精密検査を受けて下さい。 |
蟯虫検査 | 虫卵の有無を確認する検査です。 |
遺伝子検査
検査項目 | 説明 | |
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遺伝子 検査 |
新型コロナウイルス核酸検出(SARS-CoV-2 RNA) | 新型コロナウイルスに感染していると陽性になります。 |
新型コロナウイルス抗体(SARS-CoV-2 S-IgG) | 過去に新型コロナウイルスに感染したことがあったり、新型コロナワクチンを接種すると陽性になります。 |